COLUMN of KEIKO KUREBE

暮部恵子のおしゃべりコラム

これから井戸を掘る集落は、もう少し奥にあり沢山の子供達が集まっていました。

刈り取ったお米をござの上に広げて所々で干してあります。

高床の家の下には牛や鶏がいて鴨が並んで歩いています。

ここは30家族ほどが暮らしていて、6人家族が主ですので井戸が出来れば180人

の飲み水になります。

 

 

皆出てきてくれて、ここに掘るのだ...と場所を示して、丸い円を書いてくれます。

とても皆が楽しみにしていることがよく分かりました。

多くの子が上半身裸で素足です。

弟や妹を抱っこしているおにいちゃんやおねえちゃん、箒を持ってお掃除している

子、もみをござの上に広げている子、皆元気ないい子達ばかりです。

 

 

この子達は井戸が出来ると、水汲みから開放され、学校に行けるようになり、よく出

来る子はいずれ日本に留学し国と国との橋渡しをし、アジアの平和に役立つ人になっ

てくれるでしょう。

事実、カンボジアのアジア協会の関係者には京大などに留学し帰国してから国の要職

に着いたり、シアヌーク博物館の副館長になったりしている若者がいます。

 

 

副館長のエアダリスさんは、現在36歳ですが京大の修士卒で、橿原考古学研究所に

学び、アンコールワットの修復に携わっている人です。

ポルポト政権下で内戦と弾圧の元、働き盛りの多くの有能な人材が失われ、平和が訪

れた今、30代の有能な人たちが国の中枢を担うようになってきています。

これからの発展のエネルギーを蓄えながら、まだまだ貧しいこの国に私達は少しでも

お役に立つことが出来るのではないかと思います。

 

 

なぜカンボジアなのか...といいますと、まず国の情勢が比較的安定していること、

仏教国で人々が穏やかなこと、アジア協会と関係の深い日本の特命全権大使の篠原氏

がカンボジアの事情に明るいことなどがあげられると思います。

日本での25万円は30代の一ヶ月のお給料程度でしょうか?その25万円で井戸が

一基掘れるのです。そして100人から200人の人たちが何十年も安全な水を飲む

ことが出来ます。

様々な芸能人もカンボジアに学校を建てる運動をしたりしています。

クレコスのできることは小さいですが、それなりにより密な関係が築かれると思います。

 

井戸を掘る村へ行った翌日は、子供達やお寺のお坊さん達と植樹をしました。

 

日本から手伝いに来てくれると待っていてくれたようで、村の中を通る道にアカシア

の苗木を1,000本植えました。

スコップや鍬を持ってまず穴を掘り、苗木を入れ土を被せ、水をやります。

それを暑い中汗を流しながら皆で1,000回繰り返して作業が終わりました。

子供達の満足そうな顔!!ため池のにごった水で顔を洗いに駆けていきます。

言葉は通じなくても、私もすっかりお化粧の取れた顔で子供達とお互いに一つのこと

を一緒にやりとげた喜びを分かち合いました。

 

 

お寺のお坊さん達には貴重品である日本のタバコを、子供達には空港で買ったゾウの

形をしたチョコレートを一粒ずつ配りました。

子供達は一列に並び、お行儀よく手を合わせて御礼をした後、両手で一粒のチョコを

受け取りました。

きっとめったに口にすることのない甘い味が口の中に広がったことでしょう。

まさしく戦後すぐの日本がそこにありました。

 

 

たった一粒のチョコに幸せを感じられる子供達と、好きなだけお菓子が食べられ、

ゲームが出来る子供達とどちらが本当に豊かなのでしょうか?

 

 

たった3日間の短いカンボジア訪問でしたが、様々なことを見、考え、感じられた貴重

な旅でした。

 

 

ちなみに、アカシアは生長が早く5年後には立派な並木になるそうです。

ぜひ5年後に見に行きたいと思います。ご一緒にいかがですか?

 

 

また、まだまだ井戸を必要としている村はカンボジアに沢山あります。

これからも皆さんの浄財をニコニコ基金として集めさせていただいて、一基づつコツ

コツと井戸を掘らせていただきたいと思います。

 

 

ちなみに、ニコニコ基金とは、何か嬉しいニコニコすることが有った時その喜びの

お裾分けを寄付していただくと言う意味合いがあります。

皆さんのところにニコニコすることが一杯起こりますように!!