COLUMN of KEIKO KUREBE

暮部恵子のおしゃべりコラム

2011年09月02日

この夏、あちこちで催されたイベントに灯火会という行事がありました。

日本の行事として、皆さんご存知の京都で行われる五山の送り火は色々な問題があり

ましたが今年も行われました。

 

奈良でも高円山で大文字送り火があります。

最近では奈良公園の燈花会が有名になって毎年多くの人が訪れるようになりました。

平城遷都祭が行われた平城旧跡でも灯火会がありました。

また、大阪でも大阪城で先日行われ、幻想的な雰囲気に包まれたようです。

 

灯火会.jpg

 

今年は震災があり、明かりは祈りに通じるところがあって様々な形で行われたのでは

と思われます。

また大阪では年に2回、キャンドルナイトと言う催しが大阪駅近くの2箇所で行われ

ます。

 

 

ろうそくって、戦後すぐは停電がしょっちゅうあり、何処の家にもすぐにろうそくを

点けられる状態で置いてあったことを思い出します。

今の発展途上国並ですね。すっかり停電という事を忘れていた今、今年は考えられな

いような震災が起こり、忘れ去られていたろうそくの灯りを様々な形で思い出すきっ

かけになったことでしょう。

 

 

電気のない生活がどれだけ不便かを体験しようと、クレコスアースディという行事を

クレコス森倶楽部で二度ほどしたことがあります。

京都府の美山町の江和ランドで、火をつけるのに木をこすり合わせるところからはじ

め、竹やぶの竹で、釣竿を作り、魚釣りをし、竹でろうそくの蜀台やかがり火を点け

る台を作り、鳥を絞め、畑の野菜とダッチオーブンで焼き、かまどでご飯を炊き、と

いう一日でただ食べ物を揃えるだけに時間を費やす生活です。

やっとご飯が出来たころには日が暮れかけていました。

 

火興し.JPG     アースディ-3.jpg

 

ろうそくの明かりでは、何を食べているのか見えない状態でしたが、闇が深くなるに

つれ、目がなれるにつれ、ろうそくの明かりがだんだんと大きな綺麗な灯りになって

いくのです。ゆらゆら揺らめく灯りは、なんとも温かく周りを照らし、星がとっても

沢山綺麗に見え、お月様がこれだけ明るかったのかと言うことに気づかされました。

 

 

便利な生活、快適な生活に慣れきった私たちは、ずいぶん素晴らしいものを失ってき

たように思います。

これを書いているオフィスも快適な空調に快適な明かりが設定されています。

すぐに熱いコーヒーも冷たい飲み物も作れ、何一つ不自由なことはありません。

 

 

でも闇夜のろうそくがあれだけ人を勇気付け慰めるものだという事は忘れています。

震災に会われた方たちは本当に辛い思いをされたことでしょう。

ご本人でしかわからない辛さだと思います。

 

せめて、ろうそくの明かりを灯すことで、東北の人々への祈りに変えるという思いが

こめられた、様々な灯火会であったことでしょう。

 

ロウソク.jpg